叶え合う支援事業vol.3チイキの連敬ミーティング

叶え合う支援事業 vol.3
チイキの連敬ミーティング ― 「理不尽なことが許せない」という信念が制度の狭間を動かす
叶え合う支援とは?
個人や組織・団体、コミュニティなどがつながり合い、地域全体で支え合う関係性をみんなでつくっていくためのプロジェクトです。『する・される』という一方的な関係性ではなく、お互いの願いや想いを「叶え合う」ような、対話的で創造的なプラットフォームづくりを目指しています。
第三回目は「チイキ」との連敬に焦点を当てて
専門職同士の「フクシの連敬」、企業との「キギョウの連敬」に続き、第三回目は**「チイキの連敬ミーティング」として開催しました。今回は全国的に著名な実践者である勝部麗子さん**をお招きし、草加市内の支援職や中間支援組織等の方々を中心に集まっていただき、地域における支援のリアルな課題について深いセッションを行いました。
「属人化するな」と言われるけれど、現場はいつも”誰か一人”から始まる
社会福祉協議会をはじめ多くの組織で、よく「属人化的な仕事をするな」と言われます。特定の人に業務が集中することへの組織的なリスク管理として、それは確かに理解できる指摘です。
しかし、ここで根本的な矛盾が浮かび上がります。
前例のない事や制度の狭間を支援する時、その最初の動きは全て『属人化』から始まっているのではないでしょうか。
誰かが「これはおかしい」と感じ、「放っておけない」と動き出す。その最初の一歩は、必ずある一人の人間の信念と行動から始まります。仕組みになる前には、必ず「人」がいるのです。組織の論理と個人の信念の間にある、この根本的な矛盾と正直に向き合いながら、今回のセッションは進んでいきました。
「理不尽なことが許せない」という信念で動き続けた勝部さんの実践
今回の話題提供者・勝部麗子さんは、無視をしようと思えばいくらでもできる事を『理不尽なことが許せない』という信念のもと、行動に移し続けてきた方です。
見て見ぬふりをすることもできた。「それは自分の仕事じゃない」と言うこともできた。でも、そうしなかった。その積み重ねが、制度の狭間にいる人々への支援の道を少しずつ切り拓いてきました。
勝部さんの生々しい事例を共有していただきながら行ったセッションでは、参加者それぞれの「自分だったら動けるか」「自分の現場ではどうか」という問いが、静かに、でも確実に心の中に生まれていたと思います。
支援の現場で起きる「熱量問題」
支援の現場では、しばしば**『支援の熱量問題』**が発生します。
- 「なぜやらないのだろう?」という疑問や苛立ち
- 労力と自分の裁量に見合わず、支援を断念するケース
- 人によって支援を最小限にとどめてしまうケース
特にそもそも制度が当てはまらないものや、制度の狭間にあるものは、この熱量問題が顕著に表れます。制度に乗っていれば「やらなければならない」という義務が発生しますが、制度の外側にあるものは「やるかどうか」が個人の裁量と熱量に委ねられてしまうからです。
この「熱量の差」が、支援を受けられるかどうかを左右してしまう現実。それは支援者個人の問題ではなく、仕組みそのものの問題でもあります。
「一人で抱え込んではあかん」― 印象的だった勝部さんの言葉
そんな現場の悩みに対して、勝部さんが投げかけてくれた言葉が非常に印象的でした。
『重層は一人で抱え込んではあかん、そもそも狭間の問題なんやからみんなで協力して解決しないと疲弊するよ』
この言葉は、支援者の燃え尽きや孤立という現実に、真正面から向き合うものでした。
複雑に絡み合った重層的な課題を、一人の熱量ある支援者が単独で抱え込むには重すぎます。だからこそ、「連敬」が必要なのです。お互いの専門性と立場を尊重し合いながら、誰か一人に負担が集中しない形で、みんなで協力して解決していく。その熱量をどうチームや地域に”分散”させていくかが重層支援の鍵になるのです。
新しい気づき:「関わる仕組み」をつくる
今回のセッションで生まれた、個人的な気づきも正直にお伝えします。
**道にいるホームレスの方一人ひとりに『大丈夫?』と声をかけるという発想は、正直なところ、これまで自分の中にはありませんでした。**しかし勝部さんの実践と参加者との対話を通じて、そうした「最初の一声」から始まる支援が確実にあることを実感しました。
ただ、誰もが勝部さんのような強い信念だけで動けるわけではありません。大切なのは、信念がなくても自然と関われる仕組みをつくることではないでしょうか。
**今年は、面白い手法を使って関わる仕組みを作っていきたいと思います。**気合いと根性だけに頼るのではなく、「属人化」から始まった熱量を地域全体のネットワークへと広げていく、そんな創造的な取り組みを模索していきます。
「連敬」が支援者を守り、地域を強くする
vol.3を通じて改めて見えてきたのは、「連敬」は支援を受ける方のためだけでなく、支援者自身を守るためにも必要だということです。
一人の信念と熱量で動き続けることには限界があります。しかし、お互いの役割と専門性を尊重し合いながら「みんなで協力して解決する」文化が地域に根付けば、支援者が疲弊せずに長く関わり続けることができます。そしてそれが結果として、制度の狭間にいる人々への継続的な支援につながっていきます。
叶え合う支援事業はまだまだ続きます。一緒に連敬していきましょう!
Date:2026.01.30 Client:福祉政策課 Role:デザイン・企画運営