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ふくフク児童館リフォーム

ふくフク児童館リフォーム

「ユニバーサル遊具が欲しい!」から始まって、みんなで塗った壁がみんなの居場所になった話

アイデアが対話の中で育ち、より良い形へと変化していった

2024年度の福祉プラスのまちづくり事業「地域とフクシをつなぐ学校」のリンクワーカー事業から生まれたこの企画。最初のアイデアは**「ユニバーサル遊具を公園に導入したい!」**という熱い想いでした。

しかし、地域を歩き、様々な人と対話を重ねる中で、一つの重要な気づきが生まれました。「そもそも児童館って、障がいのある子どもたちがあまり利用していないんじゃない?」

新しい遊具を「作る」ことよりも、今ある地域の居場所を「誰もが使いやすい場所」へと開いていくことの方が先決ではないか。そんな問いから、企画は**『みんなで参加できる児童館リフォーム』**へと進化していきました。

この変化は失敗ではありません。対話を重ねながら、より本質的な課題に近づいていった過程そのものが、リンクワーカーの学びが生きている証でした。


ふくフク研の理念が息づく地域実験

この企画は、「ふくらむフクシ研究所(略して、ふくフク研)」の活動の一環として実施されました。ふくフク研は、埼玉県草加市発のプロジェクトとして、トークイベントや映画祭、お店ごっこなど地域での様々な実験を重ねながら、「福」祉の世界に新しい価値を「膨」らませ、また地域の暮らしの中に自然に「含」ませていくための研究・活動を行っています。

「福」 ― 児童館という日常の場所を、障がいのある子もない子もみんなが幸せに過ごせる空間へ

「膨」 ― 「塗装」という行為の可能性をふくらませ、インクルーシブな体験へと昇華

「含」 ― 地域の企業・施設・子どもたちが自然に混ざり合う場を、日常の中に染み込ませていく


困りごと同士をつなぐと、解決策が見えてきた

対象となった児童館には、ある「困りごと」がありました。壁面の経年劣化です。見た目が古くなってきているのはわかっていても、修繕に費用をかける余裕がない。そんなジレンマを抱えていました。

一方で、地域の塗装会社には**「余った塗料が必ず出る」**という現実がありました。現場でどうしても使い切れずに余ってしまう塗料は、処分にもコストがかかります。

ここでリンクワーカーとしての「つなぐ」視点が活かされました。私たちは塗装会社さんに企画の概要を話し、こう提案しました。

「余った塗料を提供していただき、プロの技術サポートをお願いします。その代わり、このインクルーシブな取り組みを通じて、御社の素晴らしい社会貢献活動を地域にしっかりと広報することをお約束します」

児童館の「直したいけど予算がない」という困りごとと、塗装会社の「塗料が余る」という困りごと。この二つを掛け合わせることで、塗装会社 × 誰でもペインター = インクルーシブな場づくりという新しい解決策が生まれました。


「誰でもペインター」で生まれた笑顔の連鎖

そして迎えたリフォーム当日。主役はプロの職人さんだけではありません。障がいのある子もない子も、地域の子どもたちがみんな**「誰でもペインター」**として参加しました。

プロでなくていい。上手でなくていい。思い思いに壁に色を塗ることができる。その「誰でも参加できる」という仕掛けが、この企画をインクルーシブな場づくりへと昇華させました。

プロの職人さんに優しく教えてもらいながら、ローラーや刷毛を握り、みんなで児童館の壁をカラフルに塗り上げていきます。上手く塗れなくても、少しはみ出しても大丈夫。むしろ、そのデコボコした塗り跡こそが、みんなで一緒に作ったという最高の証になりました。

普段は交わることの少なかった子どもたちが、ペンキまみれになりながら同じ壁に向かって笑い合う。そんな本物のインクルーシブな空間がそこにはありました。


関わった全員が「ハッピー」になる仕組み

この「ふくフク児童館リフォーム」の素晴らしいところは、誰かが無理をして「してあげる」ボランティアではなく、関わった全員にしっかりとベネフィットがあったことです。

  • 児童館: 予算をかけずに壁面がきれいになり、子どもたちの愛着も生まれた
  • 塗装会社: 余剰塗料を有効活用でき、地域貢献としての広報効果を得た
  • 子どもたち: ペンキ塗りという非日常の楽しい体験ができた
  • 地域社会: 障がいの有無に関わらず、子どもたちが自然に混ざり合う居場所ができた

**課題と課題をつなぎ合わせて、みんなの「楽しい」に変換する。**これこそが、リンクワーカーが地域に生み出す新しい価値の形です。


「みんなで塗った壁」は、みんなの居場所になる

完成した壁面は、プロが仕上げた均一な塗装とは少し違うかもしれません。でも、そこには子どもたちの手の跡があり、地域の人たちの色があり、障がいのある子もない子も一緒に作り上げた記憶が染み込んでいます。

「自分もここを作った」という感覚は、「ここは自分の場所でもある」という安心感につながっていきます。

生まれ変わったカラフルな児童館の壁は、これからも「みんなの居場所」として、地域の子どもたちを明るく迎え入れてくれるはずです。そして、この小さな体験が、障がいのある子もない子も自然に集まる日常の景色へとつながっていくことを願っています。

**「困りごと」は見方を変えると「資源」になる。**そのことを教えてくれた、温かくてカラフルなリフォームプロジェクトでした。

Date:2025.06.01 Client:ふくフク研究所 Role:プラン提案

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