地域とフクシをつなぐ学校

地域とフクシをつなぐ学校
「リンクワーカー」ってなんだろう? 学んで、歩いて、やってみる体験型の学び舎
「つなぐ」って、特別な誰かにしかできないことなんだろうか?
2024年度の福祉プラスのまちづくり事業は、これまでの対話やイベントからさらに一歩踏み込んだ新しい挑戦となりました。地域とフクシをつなぐ実践者と共に学び、まちを知り、そして活動と実践をしていく体験型の事業「地域とフクシをつなぐ学校」です。
この名前は、**「ふくらむフクシ研究所(略して、ふくフク研)」**の一環として実施されました。ふくフク研は、埼玉県草加市発のプロジェクトとして、「福」祉の世界に新しい価値を「膨」らませ、また地域の暮らしの中に自然に「含」ませていくための研究・活動を行っています。
全5日間の継続的な学びのプログラム
- DAY 1: 7月27日(土)
- DAY 2: 8月4日(日)
- DAY 3: 8月31日(土)
- DAY 4: 9月29日(日)
- DAY 5: 12月14日(土)
参加費:無料 定員:20名
単発のイベントではなく、数ヶ月にわたって継続的に集まることで、参加者同士の関係性を深めながら学びを積み重ねていく設計になっていました。回を重ねるごとに「学ぶ仲間」から「一緒に動く仲間」へと変わっていく過程が、この学校の大きな特徴でした。
「リンクワーカー」という新しい視点
この学校の中心的なテーマが、**「リンクワーカー」**という概念でした。
リンクワーカーとは、地域の中で人と人、人と資源、人と支援を自然につなぐ役割を担う存在です。重要なのは、これは特別な資格を持った専門職だけを指すのではなく、地域に暮らす誰もが、その「つなぎ手」になる可能性を持っているということです。
医療・福祉・地域活動・商店街・学校など、それぞれの現場にはすでにたくさんの人や資源があります。リンクワーカーは、その一つひとつを「点」のままにせず、線でつなぎ合わせることで、新しい支援や楽しさの形を生み出していく人たちです。
教室を飛び出す、体験型の学習プロセス
この学校が「学校」と名付けられた理由は、単に知識を学ぶ場ではなかったからです。
学ぶ → まちを散策する → プランを立てる → 実行する
地域とフクシをつなぐ実践者たちから生きた経験や知識を学んだ後は、実際にみんなでまちへ飛び出します。普段は通り過ぎてしまうような地域の風景や資源に目を向け、「ここにはどんな人がいるだろう」「どんな困りごとや、どんな可能性があるだろう」と、新しい視点でまちを観察しました。
そして、見えてきた地域のリアルな姿をもとに、自分たちに何ができるかを考え、具体的なプランを立て、実際にアクション(実践)を起こすところまでを体験する。**「知っている」と「やってみた」の間には、大きな景色の違いがあります。**この事業は、その「やってみた」という体験を参加者一人ひとりの中に積み上げていくことを大切にしました。
ふくフク研の理念が息づく実践の場
この実践的な取り組みの根底には、ふくフク研の理念がしっかりと流れています。
「福」 ― まちを歩き、実践を通して、福祉の本来の意味である「幸せ」の種を地域に見つけ出していく
「膨」 ― リンクワーカーという概念を通じて、制度の枠を超えた新しいつながりの可能性をふくらませていく
「含」 ― 参加者自身が実践者となることで、地域の日常の中に福祉の温かさを自然に染み込ませていく
「地域とフクシをつなぐ学校」のプロセスそのものが、まさにふくフク研の理念を体現するものでした。
実践者と共に学ぶ、フラットな関係性
地域とフクシをつなぐ実践者たちが、この学校の「先生」として関わってくれました。ただし、一方的に知識を教える講師と生徒という関係ではなく、実践者も参加者も同じ目線で対話しながら、共に考え、共に歩く場として設計されました。
「正解を教えてもらう場所」ではなく、「一緒に問いを深めていく場所」。これまでの福祉プラスのまちづくり事業で大切にしてきた対話型のアプローチが、この学校でもしっかりと息づいていました。
参加者から実践者へ。新しい「つなぎ手」の誕生
全5日間を通じて、参加者の中に育まれたのは知識だけではありません。
まちの中に眠っている資源や可能性に気づく視点、異なる立場の人と一緒に考え動く経験、そして「自分にも何かできるかもしれない」という小さくても確かな自信。リンクワーカーという概念を学んだことで、「誰かが専門家として支援しなければ」ではなく、**「地域の中で自分も誰かとつながる一人になれる」**という感覚が生まれていきました。
地域と福祉をつなぐ人が、草加のまちの中に少しずつ増えていく。そんな景色が、この学校から静かに広がり始めています。2023年度のふくフクフェスで見えた「参加者がプレイヤーになっていく」という流れが、この学校という形でさらに深化し、継続的な実践へとつながっていく基盤が生まれました。
地域の中に、新しい「つなぎ手」が育っていく。それこそが、この学校が目指した最も大切な成果でした。
Date:2024.07.27~12.14 Client:草加市障がい福祉課 Role:聞き手・イベント企画・伴走支援